NotebookLMとは?使い方と無料の上限、Geminiとの違い
「名前が何だというの? バラと呼ぶ花を別の名前にしても、甘い香りは変わらない。」
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の一節です。
ツールの名前が NotebookLM から Gemini Notebook に変わったと聞くと、中身まで別物になったのか、それとも看板の掛け替えなのか、気になるものです。
今回は公式ヘルプの記載だけを手がかりに、何が変わって何が変わっていないのか、Gemini 本体との関係、そしてソースとして扱えるファイルの種類と上限を整理してみます。
名称変更と基本の考え方
公式ヘルプは現在、「Gemini Notebook」という名称で案内されています。
これまで NotebookLM として提供されていたノートブック機能が、Gemini シリーズの中に位置づけられた形です。
ヘルプの記述では、Gemini Notebook を使う場合、「モデルはアップロードされたソースを使用して質問に答えたり、リクエストに応えたりします」とあります。
つまり、利用者が持ち込んだ資料を土台に回答を組み立てる、という基本的な仕組みは従来の NotebookLM から引き継がれています。
Gemini 本体との違い
気になるのは、Gemini 本体(チャット)との違いです。
公式ヘルプに、両者の機能を一覧で比較した表はありません。
ただ、ヘルプには「Gemini でノートブックとチャットして、その内容を、Gemini Notebook ノートブックのコンテキストとして追加します」という記載があり、Gemini アプリ内にノートブックが存在し、相互に連携する関係であることがわかります。
ソースを明示的に添付して使うかどうかが違いの手がかりにはなりますが、公式情報からはそれ以上を断定しにくいところです。
必要以上に憶測を交えず、この点は留保しておきます。
ソースの種類と上限
ここからは、Gemini Notebook に取り込めるソースの種類と制限を、公式ヘルプの記載に沿って表にまとめます。
| ソースの種類 | 対応形式・条件 | 上限・備考 |
|---|---|---|
| 音声ファイル | MP3、WAV、AAC、M4A、Ogg、Opus など多数。インポート時に文字起こしされ、テキストとして保存 | 1ソース最大50万語、ファイル200MBまで。発話がない音声は不可。対応言語は公式リストを参照 |
| コピー&ペーストしたテキスト | テキストを貼り付けて新規ソース作成 | 作成時にタイトルを追加・編集可能 |
| Google ドライブ | Google ドキュメント、Google スライド、Google スプレッドシート | スライドは最大100枚、スプレッドシートは10万トークン。複数タブは1ソース扱い。コメントや脚注は取り込まれない |
| 画像 | AVIF、BMP、GIF、HEIC、HEIF、ICO、JP2、JPEG、JPG、PNG、TIF、TIFF、WebP | 一部の画像は正常に機能しない場合がある |
| ドキュメントファイル | Word(docx)、テキスト(txt)、マークダウン(md)、PDF、CSV、PowerPoint(pptx) | ファイルサイズ200MBまで |
| ウェブURL | 指定したHTMLページのテキストのみをスクレイピング。画像・埋め込み動画・ネストしたページは対象外。ペイウォールのあるページは不可 | URLからアップロードしたPDFはPDFソースとして扱われる |
| ePub ファイル | ePub形式 | 通常のソース上限に準じる |
| 公開 YouTube 動画 URL | 字幕付きの公開YouTube動画のみ。字幕(ユーザーアップロード・自動生成問わず)の文字起こし部分をインポート | アップロードから72時間未満はインポートできない場合あり。字幕が500,000語以内なら動画の長さに制限なし。動画が削除・非公開になると30日以内に自動削除 |
| Gemini チャット | Gemini アプリでノートブックとチャットし、その内容をノートブックのコンテキストとして追加 | ソースとして追加できるが、ファイル形式の制限はない。ただし、ノートブックのソース上限に含まれる |
なお、全体の上限として、1ソースあたり最大500,000語、アップロードできるファイルサイズは200MBまで、無料ユーザーの場合は最大50個のソースを含められる、と公式ヘルプにあります。
Google AI プランによってはソース上限が変わる場合があるので、利用プランに応じて確認が必要です。
名前が変わっても、資料を集めて読み解くという姿勢は変わらないようです。
公式ヘルプの更新を追いかけながら、実際の使い勝手の変化を確かめてみるのがよいかもしれません。
使えない、開けないときに確かめること
公式のよくある質問には、アクセスできないときの原因が三つ挙げられています。
ひとつめは、Google アカウントの年齢確認です。年齢制限のある機能に入るには、先に確認を済ませておく必要があります。ここが未了だと、そもそもサービスに入れません。
ふたつめは、住んでいる地域です。Gemini アプリは180以上の地域で提供されていますが、対応しているかどうかを確かめる必要があります。日本にいる分には通常は問題ありませんが、渡航先や地域設定によっては思わぬところで止まります。
みっつめは、仕事用や学校用のアカウントを使っている場合の管理者設定です。Google Workspace や Workspace for Education では、管理者が個々のアプリを有効にも無効にもできます。無効になっていると、個人のアカウントでは使えるのに、職場や学校のアカウントでは開けない、という状態になります。この場合は管理者に連絡して有効にしてもらうことになります。
なお企業や学校では、エンタープライズ級のデータ保護を付けて使う道も用意されています。公式には Google Workspace、Google Workspace for Education、Google Cloud が挙げられていて、利用の上限が引き上げられたり、拡張された機能を使えたりします。組織で本格的に使うなら、こちらを確認することになります。
何ができるのか
公式のヘルプに挙げられている機能を、用途ごとに並べます。どれも、自分が入れた資料の中だけを見て作られます。
| 機能 | 何が出てくるか |
|---|---|
| チャット | 資料に基づいた答え。どの資料のどこを見たかが示されます |
| 概要 | 資料全体の要約 |
| 学習ガイド | 分かりやすい形に組み直したもの |
| 音声解説 | 資料の内容を語り合う形の音声 |
| 動画解説 | 資料の内容を動画にしたもの |
| マインドマップ | 話題のつながりを図にしたもの |
| フラッシュカードとクイズ | 覚えるための問題 |
| インフォグラフィック | 一枚の図にまとめたもの |
| スライド資料 | 発表用の資料 |
| メモ | 自分で書き足す欄 |
この並びを見ると、道具の性格が分かります。新しいことを調べるための道具ではなく、手元にある資料を別の形に置き換えるための道具です。
使い方の流れ
操作は3つの段階しかありません。
まずノートブックを作ります。ひとつの調べもの、ひとつの案件を、ひとつのノートブックに対応させると管理が楽になります。
次に資料を入れます。手元のファイルを上げるほか、ウェブページの住所を貼る、動画の住所を貼る、文章を直接貼り付ける、という入れ方ができます。音声を入れると文字に起こされてから扱われます。
最後に、質問するか、上の表にある形式を選びます。答えには、どの資料のどこを根拠にしたかが付きます。この印を押すと、元の場所へ飛べます。ここが、普通のチャットとの決定的な違いです。
無料でどこまで使えるか
無料のまま使えます。ヘルプに書かれている無料での上限は、1日あたりチャットが50回、音声の生成が3回です。上げたい場合は有料の契約に切り替えます。
保存できる量にも上限があります。ノートブックは100件まで、ひとつのノートブックに入れられる資料は50件まで、ひとつの資料は50万語までです。
50件という数字は、意外と早く埋まります。ひとつの案件でウェブページを片端から入れていくと、すぐに届きます。ノートブックを用途で分ける癖をつけておくと、この上限で困りません。
入れた資料は学習に使われるのか
いちばん多く検索されている心配ごとです。
ヘルプには、利用者のデータがこのサービスによって共有されることはない、と書かれています。ただし、扱いは契約の種類によって変わることがあります。会社の資料や、他人から預かった資料を入れる前には、自分が使っている契約でどう扱われるかを、そのときの公式の記載で確認してください。
この記事の記述も、書いた時点のヘルプに沿ったものです。この種のサービスは条件が変わります。判断が要る場面では、こちらではなく公式の記載を根拠にしてください。
一般論として、資料を預ける先を選ぶときに見るべき点は3つです。学習に使われるかどうか。人が中身を見ることがあるかどうか。消したときに本当に消えるかどうか。この3つは、どのサービスでも公開された文書のどこかに書かれています。
向いている使い方、向かない使い方
向いているのは、量のある資料を、自分で読む前にざっと掴みたいときです。長い報告書、会議の録音、複数の論文、取扱説明書といったものです。
自分で書いた過去の文章を入れて、そこから探すのにも向きます。書いたことは覚えているのに、どこに書いたか思い出せない、という場面で効きます。
向かないのは、資料の外にある知識が必要な場面です。この道具は、入れたものの中だけを見ます。世の中の常識で補ってほしい、最新の情報を調べてほしい、という使い方には応えません。それは普通のチャットの側の仕事です。
もうひとつ向かないのが、正確さが命に関わる場面です。根拠の印が付くので確かめやすくはなっていますが、要約の過程で意味がずれることはあります。印を押して原文に当たる手間を省いてはいけません。
音声解説について
機能のうち、最も話題になるのが音声解説です。入れた資料をもとに、二人が語り合う形の音声が作られます。
移動中や作業中に、資料の内容を耳から入れられるのが利点です。読む時間が取れないときの下ごしらえとして使えます。
ただし、これも要約です。細部は落ちますし、語り口を作るために言い回しが変わります。聞いた内容をそのまま引用しないでください。気になった箇所を覚えておいて、あとで原文に当たる、という使い方が安全です。
名前が変わっても
冒頭のシェイクスピアに戻ります。呼び名が変わっても、香りは変わりません。
この道具の本質は、自分が選んだ資料の中だけで答えを作る、という一点にあります。名前がどうなろうと、その一点が変わらない限り、使い道も注意点も変わりません。
逆に言えば、その一点が変わったときは、使い方を考え直す合図になります。