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IndexedDB 徹底解説:あなたのスマホの中に作られる、Kuon 専用データベースの正体

2026-05-10

KUONの設計をずっと続けています。
特にKUONはセキュリティーに何より気を使っていて、すべてのアプリでブラウザ完結、KUONのサーバーに顧客のデータは一切送信されない仕組みを守っています。

IndexedDBというと、「ユーザーの PC・スマホ・タブレットの中に、Kuon 専用の小さなデータベースが作られる」仕組みであり、Web ブラウザに標準搭載されており、すべての現代的な Web アプリが使える W3C 標準技術となります。

ファイルでもなければクラウドでもない、第 3 の保管場所です。

KUONの制作データはこの仕組みを使い、サーバーに送信されずに、顧客がすべてのデータを掌握する仕組みをとっています。
クラウド同期はできないのですが、コンチェルトプランであれば、クラウド同期に対応、、、ただし、もちろんそれも暗号化して同期しますので、KUONのサーバーを管理人である私が覗いたとしても謎の文字列が並ぶだけであり、鍵がないとただのテキストの羅列です。
この辺りの暗号化技術はもう30年くらいの老舗技術になるのかな?

「第 3 の保管場所」

今回はブログ記事なのでもう少し詳しくみていきましょう。

データを保管する場所は、これまで大きく 2 つしかありませんでした。

1 つ目は ファイル

デスクトップに転がっている Word 文書や写真のような、ユーザー自身が場所を知っている保管場所です。

2 つ目は クラウド。Google Drive や iCloud のような、インターネットの向こう側にある保管場所です。

IndexedDB は、このどちらでもありません。

ブラウザがユーザーの代わりに、ユーザーの端末の中の 誰にも見えない領域 に作る、アプリ専用のデータベースです。

ユーザーはファイルとして触ることができません。
インターネットを介する必要もありません。
それでいて、Word 文書のように端末に残り続けます。

これが「第 3 の保管場所」と呼ばれる理由です。

なぜ Kuon は IndexedDB を使うのか

Kuon は ブラウザ完結 を信条としています。

インストール不要、サーバー任せにしない、ユーザーの手元で完結する。

この思想を実現するために、IndexedDB はなくてはならない技術です。

たとえば、KUON SCORE READER で取り込んだ楽譜。
これをサーバーに置くと、ユーザーは毎回ダウンロードを待たされます。
クラウドに置くと、プライバシーの懸念が生まれます。
ファイルとして保存させると、ユーザーが管理しなければなりません。
IndexedDB なら、3 つの問題が一度に消えます。
速い、プライベート、管理不要

これが IndexedDB を選ぶ理由です。

どれくらいの容量が使えるのか?

ブラウザによりますが、現代の Chrome や Edge では 端末ストレージの最大 60 % まで、Safari でも 1 GB 程度 が IndexedDB に割り当てられます。
スマホでさえ、数千曲分の楽譜と数百本の録音を余裕で保存できる容量です。

これが、Kuon が「ブラウザだけで完結する音楽スタジオ」を成立させる物理的な土台です。

安全性はどうなっているのか

IndexedDB のデータは、ブラウザのオリジン単位で隔離 されます。

kuon.dev のデータは、kuon.dev のページからしかアクセスできません。

他のサイトはもちろん、悪意のある広告スクリプトも触れません。

これは Cookie や localStorage と同じ Same-Origin Policy という仕組みで、Web の根幹を支えるセキュリティ標準です。

ユーザーがブラウザの履歴を消去すれば、IndexedDB のデータも一緒に消えます。
逆に言えば、ユーザーが消すまで誰も削除できずに残り続ける 永続的な保管場所でもあります。

ファイル・クラウドとの比較

ファイルは、ユーザーが管理する代わりに、ユーザーが失くす可能性があります。

クラウドは、便利な代わりに、通信が必要でプライバシーの懸念があります。

IndexedDB は、ユーザーが意識しない代わりに、ユーザーの端末を離れません。

3 つはそれぞれ役割が違います。
Kuon ではこれらを 使い分け ています。

重要な楽譜やレッスン履歴は IndexedDB に。

先生と共有したい録音はクラウドに。

書き出した MusicXML はファイルに。

3 つの保管場所を適切に使い分けることで、速さ・安全・自由のすべてを両立させています。

ブラウザ完結という思想

なぜここまで IndexedDB にこだわるのか。

それは、Kuon が 「経済的・地理的に音大に通えない世界中の学習者」 をターゲットにしているからです。

通信回線が細い国でも動く。

古いスマホでも動く。

サーバー停止の影響を受けない。

ログインしなくても使える。

これらを実現するには、ユーザーの手元にデータを置くしかありません。

IndexedDB は、その思想を技術的に支える縁の下の力持ちです。

クラウドは便利ですが、クラウドに依存しないことが、本当の意味での自由です。

Kuon は、その自由を Web ブラウザという誰にでも開かれた場所で実現することを選びました。

まとめ

IndexedDB は、ファイルでもクラウドでもない、第 3 の保管場所です。

ブラウザに標準搭載され、ユーザーの端末の中に Kuon 専用の小さなデータベースを作ります。

速く、プライベートで、管理不要。Kuon が掲げる「ブラウザ完結」という思想を、技術的に成立させているのが、この見えない倉庫です。

あなたが Kuon を使うとき、画面の裏側でこの第 3 の保管場所が静かに働いています。

それは、世界中の音楽学習者が回線や端末や国境に縛られず学べる未来のための、ささやかで確かな土台です。