Rust製コードエディター「Zed」バージョン1.0がリリース〜Claude Pro/Maxとの相性抜群
ついに来た「Zed 1.0」、ATOMファンには感慨深い瞬間
2026年4月29日、Rust製のコードエディター「Zed」がついにバージョン1.0に到達しました。
リリースされてから5年、100万行を超えるコードと1,000以上のバージョンを積み重ねてきた末の節目です。
ATOMを長年愛用してきた身としては、このニュースは嬉しかった。
というのも、Zedを率いるNathan Sobo氏は、かつてGitHubでATOMの立ち上げを主導した張本人。
共同創業者たちも含めて「ATOMの精神的後継者」を作ることを公言してきたチームなのです。
なぜ「ゼロから作り直した」のか
ATOMはChromiumをフォークして作られ、その過程でElectronフレームワークを生み出しました。
今やVS Codeを含む数多くのエディターやアプリの土台となっているElectronですが、Zedチームはこの「Webの上にデスクトップアプリを乗せる」というアプローチに限界を感じていたといいます。
公式ブログでは「どれだけ頑張っても、ATOMを土台のプラットフォーム以上に良くすることはできなかった」と率直に語られています。
そこで彼らが選んだのは、エディターを「Webページのように」ではなく「ビデオゲームのように」設計するという発想の転換。
アプリ全体をGPU上で動くシェーダーにデータを供給する形で組み立て、そのために独自のUIフレームワーク「GPUI」をRustでフルスクラッチで作り上げました。
スタック全体を自分たちで所有することで、他社の基盤の上では到達できない領域に踏み込める——この覚悟こそが、Zedの根幹にある思想です。
Zed 1.0の3本柱:高速・協働・AIネイティブ
圧倒的な高速性能
ZedはRustで書かれ、マルチコアCPUを効率的に活用し、さらにGPUアクセラレーションによるレンダリングを実現しています。
キーストロークに対する応答性、大規模ファイルのスクロール、検索、シンタックスハイライト——どれを取っても「もっさり」とは無縁です。
ATOMで感じていた「最初の起動が遅い」「大きなファイルを開くと固まる」といったストレスが、Zedでは一切ありません。
人とAIによる協働編集
Zedはもともとリアルタイム協働編集を強みとしてきましたが、1.0ではその「協働」の概念が大きく拡張されました。
複数のAIエージェントを並列に動かせる「parallel agents」機能、キーストローク単位で次の編集を予測する「edit predictions」機能を搭載。
さらにAgent Client Protocol(ACP)によって、Claude Agent、Codex、OpenCode、最近ではCursorといった主要なエージェントをZedの中から呼び出せます。
AIを後付けで「貼り付けた」のではなく、エディターの基盤レベルから設計に組み込んだ——というのがZedチームの強い主張で、実際に使ってみるとその違いを体感できます。
開発の必需品はひと通り揃った
1.0のタイミングで、モダンエディターに求められる機能はほぼフルセットで揃いました。
多言語対応、Git統合、SSHリモート開発、デバッガー、そして地味に嬉しい「レインボーブラケット」まで。
「以前試したけど○○が足りなくて離れた」という人にこそ、1.0は再挑戦のタイミングだと公式も呼びかけています。
動作環境(システム要件)
Zed 1.0はmacOS、Windows、Linuxの3プラットフォームに対応しています。
CPUは64ビットのIntel/AMD(x86_64)および64ビットArm(aarch64)に対応。Linux環境ではVulkan 1.3ドライバーと、freedesktopのデスクトップポータルが必要になります。
Windowsでは DirectX 11対応GPUが必須で、これを満たさないGPUではZedが起動しないため注意が必要です。macOSはApple Silicon世代であれば文句なく快適に動作します。
インストールは公式サイト(zed.dev)からの直接ダウンロードのほか、各OSのパッケージマネージャー経由でも可能です。
使い勝手のリアルな印象
実際に触ってみての感想を、ATOMユーザー目線でまとめておきます。
起動の速さはまず驚きます。
クリックしてから画面が出るまでがほぼ一瞬で、ATOM時代に味わった「お茶を淹れてくる時間」は完全に過去のものになりました。
設定はJSONベースで、ATOMのconfig.csonに馴染んでいた人ならすぐ手に馴染みます。
コマンドパレットの操作感もATOM・VS Code系の文化を踏襲していて、移行の心理的ハードルは低いです。
一方で、ATOMの「パッケージ文化」のような無秩序な拡張性は、現時点では意図的に絞られています。
これは賛否あるところですが、エディターのコアパフォーマンスを守るためのトレードオフだと割り切れば納得できる設計です。
テーマやキーバインドのカスタマイズは十分柔軟に行えます。
そして何より、AIエージェントとの協働がエディターに自然に溶け込んでいるのが新しい体験でした。コードを書きながらエージェントに作業を任せ、その結果をdiff確認するという流れが、別ウィンドウに切り替えることなく完結します。
DeltaDBが拓く次の協働の形
Zedチームは今、CRDTベースの同期エンジン「DeltaDB」を開発中であることも明かしています。
文字単位の粒度であらゆる変更を追跡し、複数の人間とAIエージェントが同じコードベースを一貫したビューで共有できる仕組みです。
エージェントが生成したコードを、その生成された文脈の中でチームメンバーがレビューし進化させる——そんな未来が見えてきています。
【追記】Zedがサポートするプログラミング言語
Zedは公式ドキュメントが整備されている言語だけで約70種類、コミュニティ製拡張機能を加えると数百種類の言語・テキストフォーマットに対応しています。
ここでは公式が把握しているものを整理します。
なお「★」マークはZedにネイティブビルトイン(拡張機能なしで標準対応)されている言語です。
Webフロントエンド・マークアップ系
HTML、CSS ★、JavaScript ★、TypeScript ★、Vue、Svelte、Astro、Tailwind CSS ★、Emmet、Markdown ★、AsciiDoc、ReStructuredText、XML、JSON ★、YAML ★、TOML
システム・ネイティブ系
C ★、C++ ★、Rust ★(Zed自身がRust製)、Go ★、Zig、Swift、Nim、Odin(拡張)、D(拡張)、Fortran(拡張)、Assembly(拡張)
スクリプト・動的言語
Python ★、Ruby、PHP、Lua、Luau、Perl(拡張)、R、Julia
JVM・.NET系
Java、Kotlin、Scala、Groovy、Clojure、C#、F#(拡張)
関数型・研究向け言語
Haskell、Elixir、Erlang、OCaml、Elm、Gleam、Racket、Scheme、Standard ML、PureScript、Roc
モバイル・ゲーム開発系
Swift、Kotlin、Dart、GDScript(Godot)、GLSL(シェーダー)
シェル・運用・インフラ系
Bash ★、Shell Script、Fish、Makefile、Docker、Terraform、Ansible、Helm、Nginx(拡張)、Nix(拡張)、Justfiles(拡張)
データ・クエリ・設定系
SQL(拡張)、GraphQL(拡張)、Prisma、Proto(Protocol Buffers)、Cap’n Proto(拡張)、CUE(拡張)、Pkl(拡張)、Jsonnet、Rego、INI(拡張)、CSV(拡張)、LaTeX(拡張)
その他注目言語
Deno、Biome、Diff ★、Dart、Uiua、Cairo(拡張)、Noir(拡張)、Solidity系(拡張)、Brainfuck(拡張) など
標準デバッガー対応言語
Zedはデバッガー機能(Debug Adapter Protocol準拠)も内蔵しており、Rust、C/C++、JavaScript、Go、Pythonといった主要言語については追加設定なしですぐにデバッグを始められます。
補足コメント
ATOMの「Hackable Text Editor(ハック可能なエディター)」というDNAは、Zedの拡張機能エコシステムにもしっかり受け継がれています。
公式が手厚くサポートする主要言語のラインアップに加え、コミュニティが独自言語や少しマニアックな言語まで拡張機能として提供している姿は、ATOM時代の「apm install」でいろいろ試した楽しさを思い起こさせます。
普段使う言語がPython、JavaScript/TypeScript、Rust、Go、C/C++あたりであれば、インストール直後から快適にコーディングを始められるはずです。
Java、Ruby、PHP、Kotlin、Swiftといった人気言語も拡張機能経由でLSP(言語サーバー)対応しており、補完・定義ジャンプ・診断といった現代的なIDE体験が標準で得られます。
最新の対応言語リストは公式ドキュメント(zed.dev/docs/languages)でいつでも確認できますので、お使いの言語が含まれているかぜひチェックしてみてください。
Zedの価格体系は3プラン構成
Personal(無料) — エディター本体は永久無料です。
Zedのコアとなる高速エディター機能はすべて使え、AIエージェント機能も自分でAPIキー(Claude、OpenAI等)を用意すれば利用できます。
さらに毎月2,000回までの「Edit Predictions(編集予測)」が無料枠として含まれています。
普通にコードエディターとして使う分には、これで十分すぎる内容です。
Pro(月額10ドル) — AI機能を本格的に使いたい人向けのプランです。
Edit Predictionsが無制限になり、ZedがホストするAIモデル(Claude、GPT-5.5、Gemini 3.1 Pro、Grokなど)にアクセスできる5ドル分のトークンクレジットが毎月付与されます。
トークンを使い切った場合は従量課金で追加利用が可能。2週間の無料トライアル(20ドル分のトークンクレジット付き)も用意されています。
Business(1シートあたり月額30ドル) — 企業・チーム向けプランです。
請求の一元化、ロールベースのアクセス制御、組織全体のプライバシー設定、AI機能の無効化オプションなど、エンジニアリングチームへの展開に必要な管理機能が揃っています。
学生向け特典 — 「Zed Student」プランがあり、学生は1年間Zed Proを無料で利用できます。
学習グループでの利用も想定されているそうです。
Claude Codeを組み込めます。
公式の価格ページにもはっきり明記されていて、無料プランの説明には「Unlimited use with your API keys or external agents like Claude Agent, Codex CLI, and more(自分のAPIキーまたはClaude Agent、Codex CLIなどの外部エージェントを無制限に利用可能)」と書かれています。
仕組み
ZedはACP(Agent Client Protocol)という標準プロトコルを通じて、外部のAIエージェントCLIツールと連携します。
Claude Codeは「External Agent(外部エージェント)」という扱いになり、Zed側のサブスクリプション(Pro)とは独立して動作します。
つまり構造としては、Zedエディター本体(無料)+ Claude Codeの自分の契約、という組み合わせになります。Claude Codeの課金はAnthropic側(Claude Pro/Maxプラン、またはAPIクレジット)で行うので、Zed側にお金を払う必要はありません。
セットアップの流れ
公式の@zed-industries/claude-code-acpというnpmパッケージを使う方法が一般的です。
- Node.jsをインストール
- ターミナルで
npm install -g @anthropic-ai/claude-codeを実行してClaude Codeをインストール claude loginで自分のAnthropicアカウントにログイン(Claude Pro/Maxサブスク または APIキー)- Zedの設定ファイル(settings.json)にClaude CodeをACPエージェントとして登録
- Zedのエージェントパネルから Claude Code を選択して使う
Pro版との違い
無料版でClaude Codeを外部エージェントとして使う場合と、Zed Pro(月10ドル)の違いを整理すると:
無料版 + Claude Codeの場合、AIの課金はすべてAnthropic側(Claude MaxプランならClaude Codeが使い放題に近い形で利用可能)。
一方、Zed Pro版では、Zedが独自に統合したビルトインエージェント機能や、Edit Predictions(編集予測)の無制限利用が付いてきます。
Redditでも「Claude MaxプランをすでにContractしているなら、Zedは無料版+Claude Code連携で十分」という声が多く見られます。
すでにClaude Pro/Maxを契約していたり、Anthropic APIを使っている人にとっては、Zed側で追加課金しなくてもフル機能のAIコーディング環境が作れる、というのが大きな魅力ですね。
ATOMの「自分で好きなパッケージを組み合わせて環境を作る」感覚に近い柔軟性で、自分のワークフローに合わせて選べるのは嬉しいポイントだと思います。