北海道にの奥地に引っ越してきて一番嬉しかったことがこれかな。
もちろん涼しいことも素晴らしいですが、神戸の街で生ゴミを一回出し忘れたなんて想像しただけで恐ろしくないですか?
筆者も一度5月、まだ春の陽気の頃に、海外に出るとき生ゴミを忘れてしまい、一週間そのままか・・・と考えるとぞっとしたことを覚えています。
北海道の奥地で生ゴミ出し忘れても「仕方ない、次でいいか」というような感覚。
それはひとえにやつが出ない・・・という事実に尽きます。
でもなぜやつはいないのか?
この記事では 「なぜ繁殖しないのか?」をのんびり語っていきます。
閲覧注意ですが、月曜から夜更かしでも過去こんな企画があったほどです。
1. そもそも北海道でゴキブリはどれくらい報告されている?
- 北海道ペストコントロール協会へのゴキブリ相談件数は「ゼロ〜年数件」レベル。2021〜22年度は実際に0件だったと地元紙が報じています。北海道新聞の記録
「都市伝説レベルでしか出てこない」という体感は、統計的にも裏づけられているわけです。
どうやらデータ的にも本当に存在しないよう。
2. 一年を通じて“昆虫向きの温度”にならない?
月 | 札幌の平均気温(平年値, 1991–2020) |
---|---|
1月 | −3.2 °C |
7月 | 21.1 °C |
8月 | 22.3 °C |
12月 | −0.9 °C |
ポイント
- ゴキブリの主要家屋種(チャバネ・クロ・ドイツ)にとって発育が本格化するのは 概ね20 °C以上。
- 北海道の場合、高温期はせいぜい 2 か月、残り10 か月は下限を割り込む。
ちなみに2025年8月5日の筆者の住むエリアの天気情報はこちら
体感温度: 26.9 °C
湿度: 76%
風速: 3.3 m/s
気圧: 950 hPa
雲量: 0%
紫外線指数: 3
日の出: 19:23
日の入り: 09:43
本州で猛暑のニュースが流れる中、非常に涼しく快適に過ごせています。
この天気情報の取得方法はこちらの記事を参照してください。
GPS測位で得た緯度・経度を使ってリアルタイム天気情報をPythonで取得する方法
3. ゴキブリの“適温レンジ”と致死温度
- チャバネ系の近縁種 Blattella nipponica は 22 °Cを下回ると発育が著しく遅延、逆に 30 °C 前後で最速発育となる実験結果あり。
- ドイツゴキブリは「厳寒には弱く、屋外では生き延びられない」
つまり「夏の最高でも発育ギリギリ、冬は即アウト」というダブルパンチで、世代交代のサイクルが回らないわけです。
本州ではさすが、メキメキ成長するわけですね。
4. 例外:寒冷対応型のヤマトゴキブリは“森の住人”
山間部に棲む Periplaneta japonica(ヤマトゴキブリ)は −5〜−8 °C の凍結に12時間耐える “氷点下サバイバー” ですが、そもそも 朽木の下など野外で越冬 しており、家庭内害虫としてはほぼ問題になりません。
5. 物流で卵は持ち込まれるけど…。
引っ越しや通販で使う 段ボールは格好のトランスポーター。
卵鞘(らんしょう)が貼りついたまま北海道へ上陸するケースは確かにあります。
また、筆者は神戸でシンプルに届いた荷物のダンボールからヤツが出てきたこともあります。
なので、中に紛れて・・・なんてケースもあるでしょう。
ただし、
- 居つく前に人がつぶす/捨てる
- 屋外へ逃げても冬を越せない
中でもやっぱり冬を越せないが全てなんじゃないでしょうか。
逆に氷点下で活性化する寄生虫もいますし、氷点下で死滅する生き物、地球には実にさまざまな生き物がいますよね。
やっぱり奴は亜熱帯地域・・・ってイメージが強いですよね。
6. 「ハエはいるのに?」その違いは“低温耐性”
北海道の奥地でもハエはばりばり現役です。
ハエ(イエバエ Musca domestica など)は Rapid Cold Hardening(急速耐寒) という機構で、短時間の0 °C慣らしを経るだけで −5 °C程度にも耐えられることが分かっています。
つまりなんかあったかいところに冬眠しながらどうにかして、なんとか冬を越してるというわけですね。
ゴキブリにはこの仕組みが弱く、同じ室温でも冬の落差を乗り切れない――ここが大きな差です。
7. まとめ:北海道が“ゴキブリフリー”になる三つの壁
- 気候の壁:年平均 9 °C。発育適温に達する期間が短すぎる。
- 越冬の壁:0 °C前後が長く続き、室外・未暖房空間では全滅。
- 物流後の壁:卵は届いても世代継続が途切れる。
だから真夏でも「ハエはいるけどゴキブリはいない」光景になるわけですね。
さすがに本州でも冬にやつをみたことはありませんよね。
ですので例えば、高齢者向け、介護向けの施設や病院など、室温24 °C以上を通年維持する高気密な建造物が増えれば、屋内限定で世代維持が可能になる恐れがあり、今後北海道でもやつが繁殖する未来があるのかもしれません。
なんとなくいつか本州に戻ってもいいけど、やつと戦う夏はもう懲り懲り・・・そんなことをふと思う北海道の真夏でした。

音楽家:朝比奈幸太郎
神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、
ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。