GPSは全部違う!?RTKやPPPなど、測位の種類と精度を完全解説

「GPSってどれも同じでしょ?」と思っていませんか?
実はGPSにもさまざまな測位方式があり、精度・必要な機材・用途がまったく異なるんです。

この記事では、代表的な4つの測位方式

  • 単独測位(Single Point)
  • SBAS(広域補強システム)
  • RTK(リアルタイムキネマティック)
  • PPP(精密単独測位)

について、比較しながらわかりやすく解説していきます。

GPSの測位方式を一覧比較

まずは表形式で全体を把握してください。
この中でも筆者が現在使っているシステムがRTK技術です。(善意の基地局としても登録しています)

方式 略称 精度 補正手段 主な用途
単独測位 SPP 5〜15m なし スマホ、カーナビ
広域補正 SBAS 1〜3m 静止衛星からの補正信号 航空機、航法支援
リアルタイム差分 RTK 1〜3cm 基地局からのリアルタイム補正 農業、自動運転、土木測量
精密単独測位 PPP 5〜20cm 地球全体からの広域軌道/時計誤差補正 測地、海洋観測

次に各測位システムについて詳細にみていきましょう。

🧭1. 単独測位(SPP: Single Point Positioning)

  • 最も基本的な測位方式
  • 衛星の「擬似距離」を4つ以上使って三次元座標を計算
  • 外部からの補正なし、完全な独立測位

🔽特徴

  • 精度:5〜15メートル
  • メリット:シンプル・速い・安価
  • デメリット:誤差が大きい・時間帯や天候に影響されやすい

🧠豆知識: カーナビやスマホGPSはほとんどがこの方式。十分実用レベルだが、自動運転などには不向き。

🛰️2. SBAS(広域衛星補強システム)

SBAS(Satellite-Based Augmentation System)は、GPSに静止衛星を経由して補正信号を加える方式です。

各国のSBAS例:

地域名称
日本MSAS(みちびきと共用)
アメリカWAAS
欧州EGNOS
インドGAGAN

🔽特徴

  • 精度:1〜3メートル
  • メリット:受信するだけで精度向上、航空機用途に最適
  • デメリット:静止衛星が見えない場所では効果が薄れる

✈️コラム: 飛行機の着陸精度を保証する「RNP AR」という制度では、SBASの信頼性が命を守る技術となっている。

📡3. RTK(リアルタイムキネマティック)

RTKは基地局と移動局の位置差をリアルタイムで補正する方式。
誤差数cmの超高精度測位を可能にします。

🔽特徴

  • 精度:1〜3センチメートル(cm)
  • メリット:即時に超高精度、地上型GNSS測位の王様
  • デメリット:基地局が必要、通信環境が必須(LTE, LoRa, WiFiなど)

🚜豆知識: スマート農業トラクターが自動でまっすぐ走れるのはRTKのおかげ。もう「田植えで曲がる問題」は起こらない。

🌍4. PPP(Precise Point Positioning)

PPPは全地球的な軌道・時計誤差モデルを補正して、1点だけでも数cm〜数十cmの精度を実現する方法です。

🔽特徴

  • 精度:5〜20センチメートル
  • メリット:基地局不要・全世界どこでも使える
  • デメリット:補正情報の取得と初期化に時間がかかる(数分〜数十分)

⛴️コラム: 海上の測位や地球変動観測、地殻プレートの監視など、PPPは“地球の動き”を測るプロレベルの技術

📌どれを使えばいい?測位方式の選び方

ユースケース推奨方式
日常の移動・ナビ単独測位(SPP)
航空・ドローン・災害対応SBAS+QZSS
農業機械・測量・自動運転RTK(固定基地局 or ネットワーク)
無人島・海上・研究PPP(広域補正データがある場合)

まとめ:GPS測位は「精度」と「補正」が鍵!

GPSは「受信するだけ」の時代から、「補正して精度を制御する」時代に入りました。
RTKやPPPのような高精度測位を使えば、スマホやロボットだけで自動運転や地図生成が可能になります。

あなたの目的に合った測位方式を知ることで、GPSの真価を引き出すことができるのです。

朝比奈幸太郎

音楽家:朝比奈幸太郎

神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、 ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。