「大切な機材や荷物を盗難・紛失から守りたい」
そんなあなたに向けて、GPSとLoRa通信を組み合わせた低コストなトラッキング手段として、LoRaという無線技術を紹介します。
筆者は音楽家ですから、大切な機材ケースの行方は常に知っておきたいところ。
この記事では:
- そもそも LoRaとは何か?
- Wi-FiやLTEとの違い
- どんな 場面で使えるのか?
- なぜ 機材トラッカーに向いているのか?
を、私自身が学びながら・初心者にもわかる形でお届けします。
✅ LoRaとは?超長距離 × 省電力な無線通信技術
LoRa(ローラ) とは、少ない電力で、数キロ以上の長距離通信ができる無線技術(LPWA)です。
「LoRa」は通信方式の名前であり、「LoRaWAN」はそれを使ったネットワーク規格を指します。
もともとはスマートメーターや農業センサー用途で開発されましたが、
今ではGPSトラッカー・ドローン・災害通知など、幅広い分野で使われています。
🔍 Wi-FiやSIM通信とどう違うの?
通信方式 | 通信距離 | 消費電力 | ランニングコスト | データ量 | 用途例 |
---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi | 数十m〜100m | 高い | 無料(環境必須) | 多い | 家庭や社内LAN |
LTE/5G | 全国 | 高い | 月額あり(SIM) | 多い | スマホや車載通信 |
LoRa | 数km〜20km | 極小 | 無料(自前運用) | 少ない | センサー・GPSトラッカー |
✅ つまりLoRaは「少量のデータを、遠くまで、電池で送れる」通信手段です。
🧳 なぜLoRaが機材管理に向いているのか?
楽器やレコーディング機材の現場搬入、地方遠征や屋外イベントでは:
- Wi-Fiがない
- 電源も限られている
- だけど万が一盗まれたら困る…
こうした条件において、LoRaは理想的です:
LoRaの利点 | 機材管理での活用例 |
---|---|
📶 電波が遠くまで届く | 駐車場・現場〜控室のような離れた場所でも送信できる |
🔋 電池で長期間動作 | リチウム電池で数日〜数週間動作可能 |
💰 SIM契約不要 | 月額コストがゼロで、複数デバイス展開がしやすい |
🛰️ GPSと組み合わせ可 | 「今どこにある?」を自動で取得して送信可能 |
🛠️ LoRaを使うには何が必要?
必要なもの | 概要 | 価格感 |
---|---|---|
📡 LoRa送信機 | 位置情報を発信(M5Stack / Heltec / T-Beamなど) | 約3,000〜6,000円 |
📶 LoRa受信機 | 送信を受け取る(Raspberry Pi + Draginoなど) | 約4,000円〜 |
🛰️ GPSモジュール | 測位(ZOE-M8Q, NEO-6M など) | 約1,000〜3,000円 |
🔋 電源 | モバイルバッテリー、またはCR電池 | 数百円〜 |
✅ どんな仕組みでトラッキングできるの?
[機材ケース] → [LoRa送信機 + GPS] →(LoRa通信)→ [受信機(Raspberry Pi)] → [Pythonでログ保存/可視化]
- 機材側は 「位置情報を送信するだけ」
- 受信側は 「受け取って記録&表示」
このように、インターネットを使わずに、現場内だけで機材の動きが可視化できます。
もちろん機材だけじゃなくて、私物の管理などにも有効です。
ただし、見通しの良い場所では最大で50kmでの通信が記録された例もありますが、基本的には10km〜20kmくらいの範囲が最大であると想定していた方がいいでしょう。
Lora環境ではRTK測位は難しいでしょう。
大規模な現場などでは少なくとも会場から出たのか?会場内にまだあるのか?などの測定は可能であり、上手に使いこなす必要があります。
💡 他の活用アイデア(LoRa × GPS)
用途 | 内容 |
---|---|
🚗 車の盗難防止 | エンジン始動や移動検知でLoRa送信し、異常を通知 |
🏕️ 子どもや高齢者の見守り | 通信エリア外でも移動ログ取得&追跡 |
🧯 山中・災害現場のセンサーネットワーク | ネットのない場所でもLoRaで情報収集 |
📦 荷物・ドローンの追跡 | SIM不要で物流トラッキング可能 |
✅ まとめ:機材管理・トラッキングにLoRaは強力な選択肢
- Wi-FiやLTEでは難しい場所でも、LoRaは届く
- 電池で数週間以上持つため、取り付けて放置でOK
- ランニングコストがゼロで、複数機材の監視にも向いている
- PythonやFoliumと組み合わせれば、完全自作トラッカーも実現可能

音楽家:朝比奈幸太郎
神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、
ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。