北の大地に新しいRTK測位用善意の基地局

株式会社ジオセンス社のサポートで、北海道足寄町に善意の基地局を開設しました。

JCA228Bを使ってBaseステーションをジオセンス社のキャスターで登録。

現在特にトラブルなく受信できています。

気になったので、GPTに月の電気代を聞いてみるとかなりアバウトではありますが、20円程度の維持費となるようです。

まずは、アンテナを設置し、情報を取得。

取得した情報をジオセンス社のキャスターに登録し、サーバー管理を委任します。

ポイントはm5f9p.iniファイル。

基本的にはルートディレクトリに配置ということになっていますが、ファームウェアの関係でルートじゃないところに格納されていましたので、何度かエラーに。

無事に開通通知が届きましたのでまた善意の基地局掲示板の方にも順次登録していこうと思います。

北海道足寄町または本別地域でRTK測位を農業に活かしたりする方はぜひご活用ください。

ここからは、一応念のため自身の備忘録メモ的な立ち位置で記事にしていきます。

使用した機材一覧

名称用途
M5Stack(Core)制御マイコン本体
M5F9P(ZED-F9P搭載GNSSモジュール)高精度GNSS受信
M5D9C(CLAS対応補正情報受信ユニット)CLAS方式でのSurvey-in測位用
JCA228F(GPSアンテナ)測量用高性能アンテナ
TNC-SMAケーブル 3mアンテナとM5F9Pの接続用
VL110M03(マグネットベース)アンテナの仮設置用ベース
30cmポールマグネット非対応時のアンテナ支持用

基地局開設ステップ

Step 1:アンテナの設置

まずはアンテナ(JCA228F)を屋外に設置します。

  • 金属屋根やベランダの鉄板があれば、**マグネットベース(VL110M03)**で固定可能
  • 磁石が使えない場合は、30cmポールにアンテナを取り付け、固定具やロープで支柱などに縛りつけて設置します

⚠️ 強力な磁石を使用しているため、PCや電子機器に近づけないよう注意してください。

Step 2:M5Stackシステムの接続と起動

  1. M5Stackに M5F9P モジュールと M5D9C を取り付け
  2. GNSSアンテナをTNC-SMAケーブルでM5F9Pに接続
  3. USB Type-Cケーブルで給電(モバイルバッテリー or PC可)
  4. 自動で起動し、ディスプレイが点灯

常時接続ですので、筆者はコンセントから直接接続し、使用しています。

Step 3:Survey-in機能で基地局の位置を取得

今回は「CLAS方式」を使って基地局の正確な位置を取得する「Survey-in」機能を使います。
これは、数分〜数十分静止したまま測位を続けることで、精密な固定座標(元期座標)を得る方法です。

詳しい手順はジオセンス社の以下のマニュアル「6.3章」にて記載されています

📘 M5D9Cマニュアル(GeoSense社)

測位が完了すると、画面に以下のような座標が表示されます:

makefileコピーする編集するBase Pos:
lat = 43.xxxxxxxx
lon = 143.xxxxxxxx
alt = xxx.xxx

Step 4:m5f9p.iniファイルの作成

次に、基地局として動作させるための設定ファイル m5f9p.ini を用意します。
以下の情報を記載してください:

iniコピーする編集する[base]
lat = 測位で得られた緯度
lon = 測位で得られた経度
alt = 測位で得られた高さ

[wifi]
ssid = あなたのWi-Fi名
password = あなたのWi-Fiパスワード

[caster]
address = geortk.jp
mount = あなたの申請したマウントポイント名
password = pass4rtk

Step 5:NTRIPキャスタ(geortk.jp)に登録

  1. 下記URLにアクセス:
    🌐 GeoRTK(geortk.jp)
  2. アカウントを作成(無料)
  3. 「マウントポイント申請」ページから、任意のマウントポイント名(例:ashoro-base01)を申請

約10分〜1時間ほどで承認され、有効化されます。

Step 6:起動して動作確認

m5f9p.ini をM5Stackに保存した状態で再起動すると、自動でWi-Fiに接続され、NTRIPキャスタへのデータ送信が開始されます。

おわりに

以上で、RTK測位のための基準局の開設が完了です。
これで、近隣のローバー(移動体)側でNTRIP経由の補正データを受信し、センチメートル級の高精度測位が可能になります。

今回の構築では、全体としてハンダ付け不要・設定はiniファイル編集のみと、非常に扱いやすい構成でした。
北海道のような広大なエリアでは、RTK技術がとても活きてくると実感しています。

朝比奈幸太郎

音楽家:朝比奈幸太郎

神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、 ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。