知られざる北の珍味「かすべ」完全ガイド

日本は海に囲まれていて、古くからさまざまな魚が食べられてきました。

特に魚の漢字はたくさんあって、漢字検定でも注目のジャンルだったりしますよね。

日本は島国だけど、なかなか広く、エリアによって取れる魚も違えば名前も違っていたりします。

例えば、神戸だと有名なのがいかなごですよね。

いかなごの釘煮は、毎年の風物詩で、ポスト投函用のタッパーとともにスーパーにずらーーーーっと並ぶと「おー、今年もこの時期か」なんて思ったりします。

でもこれ、兵庫県だけの名物か?と思いきや、北海道でも取れるんだとか。

北海道では、イカナゴの小さいものを「小女子(コオナゴ、コウナゴ)」、大きくなると「大女子(オオナゴ)」と呼ぶこともあります。

他にも、つばすというのは、寒ぶりの子供自体の名前で、北海道ではさすがにつばすは聞いたことがないそう。

さて、「かすべ」と聞いてピンとくる人は、きっと北海道や東北地方の食文化に詳しい方かもしれません。

かすべとは、エイの一種(主にガンギエイ)を指す呼び名で、北海道では昔から馴染み深い食材のひとつ。

独特のコリコリ食感やゼラチン質の旨み、そして栄養価の高さから、冬場の家庭料理や郷土料理に広く使われています。

本記事では、かすべの特徴、流通、食べ方、そして代表的なレシピまで、正確な情報をもとに網羅的にご紹介します。

かすべとは?

  • 分類:軟骨魚類(サメや他のエイと同じ仲間)
  • 和名:主に「ガンギエイ(眼旗鱝)」
  • 学名(代表種)Raja kenojei(ガンギエイ)
  • 流通形態:生・冷凍・干物(干しかすべ)など
  • 主な漁場:北海道沿岸、オホーツク海、日本海北部

エイは約600種以上いると言われていますが、日本で「かすべ」と呼ばれるのはその一部。

特に北海道では、煮物や干物にして食べる伝統があり、地域によっては「つべ」「えい」「ばばがれい」などとも呼ばれています(※ばばがれいは正式にはイシモチガレイ)。

味と食感の特徴

  • ゼラチン質が豊富で煮込むとぷるぷるした食感に
  • 軟骨部分まで食べられるほど柔らかい
  • 独特の風味があるが、しっかりと下処理をすることで臭みは軽減できる
  • 特に味噌や甘辛い煮汁との相性が良い

栄養価

  • 高タンパク・低脂肪
  • 軟骨にはコンドロイチン硫酸が豊富
  • カルシウム・コラーゲンも含有
  • 消化吸収が良く、高齢者や子どもにも適した魚

かすべの下処理方法

かすべを美味しく食べるには、下処理が非常に重要
特にアンモニア臭を軽減するために、以下の工程が一般的です。

  1. 流水でよく洗う
  2. 皮を軽く湯引きし、ぬめりを取る
  3. 塩をまぶして20分ほど置く(脱臭)
  4. 酢を少量加えた湯で軽くゆがく

北海道の代表的なかすべ料理 5選

1. 味噌煮

濃い目の赤味噌や合わせ味噌で煮ることで、ゼラチンがとろけてご飯が進む一品。
材料例:かすべ、味噌、酒、みりん、砂糖、生姜

2. 煮こごり

煮た後の煮汁を冷やすとゼリー状に固まるため、おせち料理や前菜にもぴったり。

3. ぬた和え

酢味噌でさっぱりと和える料理。弾力のある身と酢味噌の相性が抜群。

4. 唐揚げ

下味をつけたかすべを片栗粉で揚げる。外はカリッと中はぷるぷるの人気メニュー。

5. 干しかすべの炙り

干物にされたかすべを軽く炙って食べると旨味が凝縮。酒の肴にも最適。

どこで手に入る?

北海道のスーパーでは特に珍しくなく、手に入ります。

もっとも有名な名前の由来説が、かすが出ない、かすべです。

本当に綺麗に全部食べれます。

ちなみに寄生虫リスクはそこまで高くないそうですが、生食する人はいないという前提のもとの情報だと思います。

筆者はアニサキスを発見しました。

よく火を通してから食べましょう。

唐揚げの際などは中まで火が通っているか要注意ですね。

まとめ

かすべは、その独特の食感と栄養価の高さから、近年では本州でも人気が高まっています。
最初はその見た目や名前に驚くかもしれませんが、ひとたび味わえばクセになること間違いなし。
ぜひ一度、ご家庭で「かすべ料理」に挑戦してみてください。

朝比奈幸太郎

音楽家:朝比奈幸太郎

神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、 ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。