ピアニストが録音をはじめたきっかけ

このカテゴリーではオーディオに関することも気軽に投稿していくことで、オーディオ文化、そして素晴らしい音楽の数々をアーカイブする録音エンジニアとしての考え方をみなさんとシェアしたいと思うわけです。

演奏家と録音エンジニア、筆者はどっちもやるわけですが、実をいうと、どっちもやるという感覚はおかしなことでありまして、二つを括って音楽家という立ち位置にいるわけです。

元々録音をはじめたきっかけは、金田式DC録音の五島昭彦氏との出会いの中でした。

オーディオアカデミーのエンジニア:五島昭彦氏のプロフィール

はじめて彼の録音で自分の作品を撮ってもらった時に、「もう僕のピアノの録音をお願いできる人はこの人しかいない」と確信を持ったわけです。

実は彼と出会う前からも録音に関しては自分なりに模索し続けていました。

大学(某音大)でもMIDIやDAWの授業には単位が足りてるのに何度も参加したり、講師のスタジオまでおしかけたりしていました。

録音ルームのエンジニアのところに教えてもらいに行ったりもしていた時期もありました。

そのため、ある程度一般的な社会通念上の録音というお仕事の音は聞いてきたつもりだったわけですが、五島昭彦氏の録音はまさに晴天の霹靂だったわけです。

ようやく信頼できる録音エンジニアが見つかった・・・
はずだったんですが、ここで一つのとても大きな問題が起こるわけです。

おわかりでしょうか。

そうです。

五島昭彦氏はまさに自分の父親世代であり、30年くらい先輩なわけですね。

じゃあ彼が寿命を迎えたあと、誰が僕の作品を録音してくれるんだろう?とふと考えたわけですね。

自分でやるしかないんですよね。

もっとも信頼する録音エンジニアの音響エンジニアリングを学びたいそういう想いで弟子入りさせてもらったわけですが、やはり弟子入りするしかなかった・・・と思わされる哲学がそこにありました。

次の録音はもっといい

五島昭彦氏の音響エンジニアリングを語るには金田明彦氏の存在無くして語れません。

金田明彦氏について

録音そのものが哲学的要素が非常に強く、常に進化を続けること、完成、これでいいという概念は一切ありません。

そういう金田氏の哲学が五島氏にも脈々と受け継がれており、「録音を学ぶ」というと、アカデミックにマイクはこうおいて、こんな処理をかけて、こんな方法で・・・なんてもんではないんですね。

専門学校や大学ではそのように教わりますが。

「最高の録音をする」「次の録音は前回よりも素晴らしく」

この哲学は筆者自身が自分のピアノに対して課している考え方そのものだったわけです。

なので、今録音技術を学んでいますが、マイクロフォンをどこに置くかを教えてもらったことはありませんし、デジタル処理や、マスタリングスキルを教えてもらったことはありません。

それは、「耳が知っている」からです。

自分の耳に聴く、問うてみる。

この問いかけ、つまり問答の精神と、常に実験を続けるメンタリティー。

これが今私が一所懸命五島氏から学んでいる金田式哲学であると思います。

この哲学をしっかりマスターすることで、芸術家、音楽家として油の乗ってきた60代、70代の作品を自分の録音で残し、人々に伝えることができる。

そう確信しています。

その頃にはほぼ間違いなく金田氏も五島氏もあの世にいることでしょう。

でも、こうやって受け継ぐ人がいることで、この世に残るものは、「決して音だけではない」と自信をもっていえます。

そんな金田式DC録音や筆者の録音に興味のある方はぜひ一緒に音楽をつくりましょう!

連絡待っています!

朝比奈幸太郎

音楽家:朝比奈幸太郎

神戸生まれ。2025 年、40 年近く住んだ神戸を離れ北海道・十勝へ移住。
録音エンジニア五島昭彦氏より金田式バランス電流伝送 DC 録音技術を承継し、 ヴィンテージ機材で高品位録音を実践。
ヒーリング音響ブランド「Curanz Sounds」でソルフェジオ周波数音源を配信。
“音の文化を未来へ”届ける活動を展開中。