【保存版】インダクタンスとは?コイルの役割と単位(H・mH)を基礎から徹底解説!オーディオ自作・修理派のための「コイル」入門

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「コンデンサーは電気を貯めるもの」となんとなく知っていても、「コイル(インダクタンス)」となると、急にイメージしづらくなりませんか?

しかし、スピーカーの中にあるネットワーク回路や、Revoxなどのテープレコーダーの発振回路において、コイルは主役級の働きをしています。今回は、この「コイル」の正体を、難しい理屈抜きで直感的に理解できるように解説します。

1. インダクタンスとは?「電気の慣性」である

一言で言うと、インダクタンスとは「電流の変化を嫌がる性質」のことです。

💡 重たい「水車」をイメージしてください
  • 水(電流)を流し始めても、重い水車(コイル)はすぐには回りません。(電流の立ち上がりを遅らせる)
  • 一度勢いよく回り始めた水車は、水を止めてもすぐには止まりません。(電流を流し続けようとする)

この「変化に逆らう力」の大きさのことをインダクタンスと呼びます。コンデンサーが「電圧の変化」を嫌うのに対し、コイルは「電流の変化」を嫌います。まさに正反対の兄弟のような関係です。

2. 単位は「ヘンリー (H)」

インダクタンスの単位は「H(ヘンリー)」を使います。
コンデンサー(ファラド)と同じく、1H は非常に大きな単位なので、オーディオ機器では補助単位のミリ(m)やマイクロ(μ)がよく使われます。

【保存版】インダクタンス単位換算表
大きさ 単位記号 読み方 換算の目安 主な用途
H ヘンリー 1 H = 1,000 mH 大型電源用チョークコイル
mH ミリヘンリー 1 mH = 1,000 μH スピーカーネットワーク
(ウーファー用など)
μH マイクロヘンリー 基準の最小単位 発振回路、RF回路
(高周波用)

Revoxのオシレーターコイルなどで見かけるのは、主に mHμH の世界です。

3. オーディオにおけるコイルの役割

では、具体的にオーディオ機器の中でコイルは何をしているのでしょうか?主な役割は以下の2つです。

① 低音を通して、高音をブロックする(ローパスフィルタ)

コイルには「周波数が高い(動きが激しい)信号ほど通しにくく、低い(ゆっくりした)信号は通す」という性質があります。

  • ウーファー(低音用スピーカー):コイルを直列に繋ぐことで、不要な高音をカットします。
  • ノイズ除去:電源ラインに入ってくる高周波ノイズをブロックします。

② 特定の周波数を作り出す(共振・発振)

コンデンサーとコイルを組み合わせると、シーソーのようにエネルギーを交換し合い、特定の周波数で振動します。
Revox B77などのテープレコーダーでは、録音用ヘッドに流す「バイアス電流」を作るための発振回路(オシレーター)として重要な役割を果たしています。

4. 少しだけ数式の話(リアクタンス)

「コイルがどれくらい電流を妨げるか(抵抗値のようなもの)」を表す値を誘導性リアクタンスと呼び、\( X_L \)(オーム)で表します。

$$ X_L = 2 \pi f L $$

ここから分かることはシンプルです。

  • \( f \)(周波数)が高くなるほど、\( X_L \)(抵抗)は大きくなる = 高音を通さない
  • \( L \)(インダクタンス)が大きいほど、\( X_L \)(抵抗)は大きくなる = 強力にブロックする

まとめ:コンデンサーとの違い

最後に、オーディオ修理・自作で覚えておくべき対比をまとめました。

パーツ コンデンサー (C) コイル (L)
性質 電圧の変化を嫌う 電流の変化を嫌う
周波数特性 高音を通す
(ハイパス)
高音を遮断する
(ローパス)
位相 電流が進む 電流が遅れる

「高音をカットしたいときはコイル(mH)」、「特定の周波数を発振させたいときはコイルとコンデンサーの組み合わせ」。
この基本さえ押さえておけば、回路図を見る目がぐっと変わるはずです。