先日はパーマロイヘッドのマスターテープレコーダーの導入の話をしました。
実は古い機種にはパーマロイヘッド機はたくさんあります。
今回の場合は、現場に持ち運ぶため、TASCAMのラックマウント形式を選択しましたが、例えばNAKAMICHIなどは今でもebayで高額で取引されるなど、伝説的な存在として有名です。
今日は、簡単ですが、パーマロイヘッド搭載機種を少しご紹介しておきます。
基本的にはSonyさんは、専売特許のFFヘッドというものがあるので、Sonyにパーマロイが搭載されているケースは極小と考えてください。
金田明彦著のオーディオDCアンプシステムの下巻、オーケストラをポケットに持ち歩く回で登場するSonyのウォークマンWM-D5なども、当時はパーマロイヘッドに交換可能だったため紹介されており、「パーマロイヘッドに交換」することを強く推奨されています。
また、AKAIさんの場合は、GXヘッドが専売特許になっています。
筆者は個人的にGXヘッドは好きですが、比較するとやはりパーマロイの方が耳に馴染みやすい。
以下に各ブランドが開発したヘッドをリスト化しておきますので、参照してほしい。
ちなみにRevoxもA77MKⅣの時代にパーマロイヘッドをベースにした改造ヘッドを開発しています。
主要オーディオメーカーの独自開発カセットヘッド
| メーカー | ヘッド名称 | 主な素材・技術 | 特徴・解説 |
|---|---|---|---|
| AKAI (アカイ) |
GXヘッド Glass & Crystal Ferrite | 単結晶フェライト + ガラス素材 | コアに単結晶フェライトを用い、周囲を硬質なガラスで覆ったAKAIの代名詞。「摩耗ゼロ」を謳うほどの圧倒的な耐久性を誇り、高域特性にも優れていました。のちに「Super GXヘッド」へと進化します。 |
| SONY (ソニー) |
F&Fヘッド Ferrite & Ferrite | フェライト(無垢) | コア部だけでなく、ガード部にもフェライト(同質の非磁性フェライト)を用いた構造。パーマロイに比べて約200倍の耐摩耗性があり、ゴミが付着しにくいという特徴がありました。後にS&F(センダスト&フェライト)やLA(レーザーアモルファス)へと移行します。 |
| Victor (日本ビクター) |
SAヘッド Sen-Alloy | センダスト合金 + パーマロイ | パーマロイの優れた音質と、フェライトの耐摩耗性の「いいとこ取り」を狙った技術。高透磁率・高飽和磁束密度を持つセンダスト(鉄・アルミニウム・ケイ素の合金)チップをパーマロイコアに接合し、メタルテープ時代に大活躍しました。 |
| Technics (テクニクス) |
HPFヘッド Hot Pressed Ferrite | ホットプレス・フェライト | フェライト粉末を高温・高圧で焼き固めることで、極めて空隙(ポア)の少ない高密度なフェライトを生成。ギャップのエッジが崩れにくく、非常に優れた高域特性と10年以上の耐用年数を実現しました。 |
| Pioneer (パイオニア) |
リボンセンダストヘッド Ribbon Sendust | 積層センダスト薄帯 | 硬くて加工が難しいセンダストを、特殊な製法でリボン状の極薄板(数ミクロン〜数十ミクロン)にし、それを何枚も積層してコアを形成。高周波帯域における渦電流損失を劇的に減らし、クリアな高音質を獲得しました。 |
| TEAC (ティアック) |
CAヘッド Cobalt Amorphous | コバルト・アモルファス合金 | 結晶構造を持たない(非晶質=アモルファス)コバルト合金を採用。磁気特性(透磁率や飽和磁束密度)が極めて高く、耐摩耗性もフェライト並みという、カセットデッキ後期の理想的なヘッド素材として高級機に多く搭載されました。 |
| Nakamichi (ナカミチ) |
クリスタロイヘッド Crystal Permalloy (Crystaloy) | 高純度化・結晶化パーマロイ | 前回のリストにも登場したナカミチの独自素材。耐摩耗性ではフェライトやセンダストに一歩譲るものの、「音楽信号の純粋な再現性」という点において徹底的に透磁率を高めた、音質最優先のヘッドです。 |
というわけで本日はヘッドの話と、パーマロイヘッド機のほんの一部の紹介でした。
パーマロイ系ヘッド搭載
カセットデッキ総覧
Permalloy / Crystaloy / Hard Permalloy / PCOCC Permalloy を搭載した
民生・業務用カセットデッキを年代順に網羅。
ヘッド素材の分類
- ナカミチ初期の Crystal Permalloy ヘッド採用機
- ポータブル/普及クラス向けのエントリーモデル
- 後継機 1000ZXL への技術蓄積の出発点
- ABLE 8bit MCU で 256ステップ自動最適化
- アルミ合金シャーシ採用、低振動設計
- ダブルキャプスタンによりワウフラを極限抑制
- 自動アジマス調整機構(ZX シリーズの特徴)
- 高域特性 22 kHz はメタルテープ時の実測値
- ダブルキャプスタンによるテープ走行安定化
- 1000ZXL / Dragon に連なる高性能ライン
- NAAC:サーボモーターでヘッドアジマスを連続補正
- ワウフラ 0.019% WRMS は史上最高水準
- 680ZX の設計哲学を継承した自動アジマス調整搭載
- 10 Hz まで伸びた低域特性
- コンパクトボディに3ヘッド独立構成を搭載
- Dolby C 使用時 S/N 70 dB と高い静粛性
- 独自形状 Crystaloy ヘッドで高精度アジマス実現
- 「ナカミチの最後のモヒカン」と評される最終高級機
- 4.75 cm/s と 9.5 cm/s の2速切替が可能
- Super Hard Permalloy ヘッドにより高耐久性を実現
- EIA 19インチラックマウント対応のプロ仕様
- 後継 112 MkIII は Cobalt Amorphous ヘッドへ変更
- プロ現場での耐久性を求めた堅牢な設計
- オートリバース再生・録音対応モデル
この記事を書いた人:朝比奈 幸太郎
音大卒業後ピアニストとして活動後、渡独。
帰国後タイムマシンレコード・五島昭彦氏に師事し、究極のアナログ録音「金田式DC録音」の技術を継承。
Revox等のヴィンテージ機材のレストア技術を持ち、マイク、アンプ、スピーカーに至るまでシステムを根底から自作・設計する録音エンジニア。
物理特性と芸術性が融合する「本物の音」を追求・発信している。